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プリンスのテニスラケット選び方|5シリーズ14モデルはここが違う

プリンス(Prince)の硬式テニスラケットは、当サイトではPhantom Graphite・Tour・X・Beast・Emblemの5シリーズ、計14モデルを掲載しています。結論として、プリンスを選ぶ軸は他ブランド以上に「フェイスサイズ」と「ビーム厚」の2つです。93インチの薄ビームで球のコースを支配したいならPhantom Graphite、120インチの厚ビームで飛びと軽さを最優先するならEmblemが候補になります。この2つは同じブランドの中にありながら、フェイスサイズで27in²、同じ位置どうしで比べたフレームの厚さで8mm、重量で68gも離れています。この記事では、当サイトが持つ14モデル分のスペックと5軸スコアを実際に全件確認したうえで、この2軸を中心にシリーズを絞り込むための入口を提供します。

結論|プリンスは「フェイスサイズ」と「ビーム厚」で選ぶブランド

結論として、5シリーズは次のように分かれています。

シリーズ世代モデル数何で選ばれるか
Phantom Graphite2024〜2026年7薄ビーム・ボックス断面のコントロール系。93〜107in²と展開が広い
Tour2025年2ハイブリッド断面のオールラウンド。290g・305gの重量2種
X2024年1Triple Tube・Twist Power技術を積んだフラッグシップ
Beast2024年2厚ビームのパワー系。O3テクノロジー搭載モデルを含む
Emblem2026年2247〜255gの超軽量オーバーサイズ。110・120インチ

14モデルという数はブランドとしては多くありませんが、次の章で見るとおり、その14本がカバーする範囲は極端に広く取られています。ここに挙げた以外のモデル(BEAST 98、TOUR O3など)を含む全ラインアップはプリンス日本公式サイトのラケット一覧で確認できます。

なぜフェイスサイズで選ぶのか?93インチと120インチが同じブランドに並ぶ

プリンスの14モデルは、フェイスサイズが93in²から120in²まで、27in²分の幅を持っています。しかもこの両端は、当サイトが掲載する9ブランドすべてを見渡しても両方が極端な値です。93in²のPhantom Graphite 93より小さいフェイスのモデルは他に無く、120in²のEmblem 120より大きいモデルも他にありません。

モデルフェイス重量ビーム厚(ヘッド/センター/スロート)RAパワーコントロール
Phantom Graphite 9393in²315g23/22/19mm624490
Phantom Graphite 100100in²310g22/20/18mm604483
Emblem 110110in²255g26/28/26mm708852
Emblem 120120in²247g30/27/26mm729345

同じブランドの中で、93in²・315g・RA62のフレームと、120in²・247g・RA72のフレームが同時に売られています。この2本の重量差は68gで、14本全体で見るとRA(フレーム硬さ)は60〜72の12ポイント幅があります。つまりプリンスは「ブランドで選ぶ」ことにほとんど意味がなく、どのシリーズを見るかを最初に決めないと候補が絞れないブランドです。逆に言えば、シリーズさえ決まればあとの選択肢は1〜7本しかありません。

なお、この5軸スコアは重量・フェイスサイズ・ビーム厚・ストリングパターン・RA値などから算出したうえで手動補正を加えた相対的な指標であり、プリンス社内での位置関係を示すものです。絶対的な性能値ではなく、採点基準が異なる他ブランドのモデルとスコアを直接比較することはできません。RA値(フレームの硬さ)の基本的な意味は「ラケット選びの基本」で解説しています。

薄ラケの極と厚ラケの極|スロート19mm以下は他ブランドに1本もない

プリンスのもう1つの軸がビーム厚です。Phantom Graphiteはスロート側(グリップに近い部分)が18〜19mmしかない薄ビームのボックス断面で、スロート側が19mm以下のモデルは、当サイトが掲載する9ブランドすべてを見てもこのPhantom Graphite 7本だけです。他ブランドで最も薄いモデルでも19.5mmで、それより薄い領域はプリンスが独占しています。

項目もっとも薄いもっとも厚い
スロート側ビーム厚Phantom Graphite 97 / 100 / 107(18mm)Emblem 110 / 120(26mm)
ヘッド側ビーム厚Phantom Graphite 97 / 100 / 107(22mm)Emblem 120(30mm)
RA(フレーム硬さ)Phantom Graphite 97 / 100 / 107(60)Emblem 120(72)

一方のEmblem 120はヘッド側30mmで、こちらも9ブランドの中でもっとも厚いフレームです。ビームが薄いほどフレームがしなって飛びが抑えられ、球のコースを作りやすくなります。逆に厚いほどフレームが潰れずに反発するため、少ないスイングでも飛距離が出ます。

「飛びすぎてアウトが減らない」ならPhantom Graphite、「振っても飛ばない・ラリーが続かない」ならEmblemかBeast、という切り分けが、プリンスではビーム厚の数字だけで判断できます。

重量だけが違う2組|15gの差はスコアにどう出るか

プリンスには、フェイスサイズ・ストリングパターン・ビーム厚・RAがまったく同じまま、重量とバランスだけが違う2モデル1組の組み合わせが2組あります。重量の違いだけが打ち味にどう効くかを、当サイトのスコアで単独比較できる構成です。

モデルフェイスパターンRA重量バランスパワースピンコントロール操作性打球感
Tour 100(290g)100in²16×1963290g325mm7078827880
Tour 100(305g)100in²16×1963305g313mm6875886882
Phantom Graphite 100XS(285g)100in²16×1861285g325mm6572808882
Phantom Graphite 100XS(300g)100in²16×1861300g320mm6272857585

2組とも、15g重い方はバランスがトップライト方向(Tour 100は325→313mm、100XSは325→320mm)に振られています。その結果、コントロールが5〜6ポイント上がり、打球感も2〜3ポイント上がる一方で、操作性は10〜13ポイント落ちます。パワーは2〜3ポイント下がるだけで、重量を増やしても飛ばなくなるわけではありません。

プリンスで重量を1段上げるかどうかは、「コントロールを取るか、操作性を取るか」の交換だと考えると判断しやすくなります。ダブルスでネット際の反応速度が要る、あるいは試合の後半に振り遅れる自覚があるなら軽い方、ラリーで押し負けたりコースが散ったりするなら重い方が候補です。

なお当サイトの試打記事では、試打者が普段使っているラケットとしてTour 100(305g)を比較の基準に置いています。試打者の条件やスペックの基準値は「VCORE 100とEZONE 100を打ち比べた」に記載しています。

Phantom Graphiteはどんな人におすすめ?|14本中7本を占めるコントロール系の主力

Phantom Graphiteは、プリンスの掲載14モデルのうち7モデルを占める中心シリーズです。ボックス断面の薄ビームと、テキストリーム×ザイロン素材による振動吸収を共通の核として、93〜107in²まで展開されています。7本ともRAは60〜62で、プリンスの中ではもっとも柔らかい部類です。

  • Phantom Graphite 93(93in²・315g): 9ブランドを通じて最小のフェイスサイズ。コントロール90・打球感95
  • Phantom Graphite 97(97in²・300g): コントロールスコア92は14本中もっとも高い
  • Phantom Graphite 97(315g)(97in²・315g): 97インチの重量版。バランス305mmのトップライト設計で、打球感95
  • Phantom Graphite 100(100in²・310g): スロート18mm・RA60は97・107と並ぶシリーズ最薄・最軟。打球感95
  • Phantom Graphite 100XS(300g)(100in²・300g): 16×18パターンでスピンも確保した標準モデル
  • Phantom Graphite 100XS(285g)(100in²・285g): 操作性88はPhantom Graphite 7本中もっとも高い
  • Phantom Graphite 107(107in²・305g): シリーズ最大フェイス。コントロール77と7本中もっとも穏やかで、薄フレームへの入口になる

打球感スコアが14本中最高の95に並ぶのはPhantom Graphite 93・97(315g)・100の3本で、いずれも300g以上の上級者向けです。同じ打感の傾向を軽い重量で試したい場合は、285gのPhantom Graphite 100XSか、フェイスの大きい107から入るのが無理のない順番です。

Tour・Xはどんな人におすすめ?|競技志向のオールラウンド3モデル

Tourは、ハイブリッド断面(ボックスとラウンドの中間)を採用した競技向けのオールラウンドシリーズです。前章のとおり290g・305gの2種類があり、フレームそのものは同一です。

  • Tour 100(290g)(100in²・290g): パワー70・スピン78とバランス型。操作性78
  • Tour 100(305g)(100in²・305g): コントロール88は、Phantom Graphite以外では14本中もっとも高い

X 100 TOUR(100in²・300g)は、Triple Tube技術とTwist Power技術を積んだフラッグシップです。パワー78・スピン80・コントロール82・打球感85と5軸すべてが高い水準で並び、突出した弱点がありません。価格は46,200円で、Emblem 120と並び14本中もっとも高いモデルです。「1本で全部やりたい」という要求に対しては、プリンスではこのX 100 TOURが最初の候補になります。

Beastはどんな人におすすめ?|O3テクノロジーとは何か

Beastは、24/26/23mm前後の厚ビームでパワーを出すシリーズです。プリンス独自のO3(オースリー)テクノロジーを搭載したモデルがあるのがこのシリーズの特徴で、フレームのサイド部分に大きなポート(穴)を開け、ストリングを従来のグロメットではなくこのポートで支える構造になっています。空気抵抗が減ってヘッドスピードが上がり、ストリングの可動域が広がることでスピン量も増えます。

  • Beast 100(280g)(100in²・280g): O3なしの軽量版。パワー85・操作性85で、バランス330mmのヘッドヘビー設定
  • Beast O3 100(300g)(100in²・300g): O3搭載モデル。スピンスコア85は14本中もっとも高い

スピンを最優先するならBeast O3 100、軽さと振り抜きやすさを優先するならBeast 100(280g)という分かれ方です。2モデルとも38,500円で、14本の中ではもっとも手頃な価格帯にあたります。回転をかけるための一般的な考え方は「スピンを増やしたい人のラケット選び」で解説しています。

Emblemはどんな人におすすめ?|247gと120インチの超軽量オーバーサイズ

Emblemは、初心者・女性・シニア向けに振り切った軽量オーバーサイズの2モデルです。前述のとおりビーム厚とRAは14本中もっとも高く、少ないスイングで飛距離を出す設計になっています。

  • Emblem 110(110in²・255g・42,900円): パワー88・操作性92。バランス350mmのヘッドヘビー
  • Emblem 120(120in²・247g・46,200円): 14本中で最軽量・最大フェイス・最高パワー(93)・最高操作性(95)。バランス365mm

注意しておきたいのは価格です。Emblemは入門者向けの位置づけですが、42,900円・46,200円と、X 100 TOURと並ぶ14本の中でもっとも高い価格帯にあり、もっとも安いBeast(38,500円)より高くなります。軽さと飛びを金額で買うシリーズだと理解しておくと、予算の判断がしやすくなります。はじめての1本を選ぶ際の一般的な考え方は「初心者向けラケットの選び方」にまとめています。

掲載14本のスペック一覧

シリーズごとの全モデルのスペックをまとめました。

Phantom Graphite 全7モデル

モデルフェイス重量バランスパターンRA価格
Phantom Graphite 9393in²315g305mm16×196241,800円
Phantom Graphite 9797in²300g320mm16×196041,800円
Phantom Graphite 97(315g)97in²315g305mm16×196241,800円
Phantom Graphite 100100in²310g310mm16×186041,800円
Phantom Graphite 100XS(285g)100in²285g325mm16×186141,800円
Phantom Graphite 100XS(300g)100in²300g320mm16×186141,800円
Phantom Graphite 107107in²305g310mm16×196041,800円

Tour 全2モデル

モデルフェイス重量バランスパターンRA価格
Tour 100(290g)100in²290g325mm16×196339,600円
Tour 100(305g)100in²305g313mm16×196339,600円

X 全1モデル

モデルフェイス重量バランスパターンRA価格
X 100 TOUR100in²300g320mm16×186546,200円

Beast 全2モデル

モデルフェイス重量バランスパターンRA価格
Beast 100(280g)100in²280g330mm16×196738,500円
Beast O3 100(300g)100in²300g320mm16×196638,500円

Emblem 全2モデル

モデルフェイス重量バランスパターンRA価格
Emblem 110110in²255g350mm16×187042,900円
Emblem 120120in²247g365mm16×197246,200円

悩み別|どのモデルを見ればいいか

具体的な悩みから、14本の中でまず見るべきモデルを絞り込みます。

飛ばない・パワー不足を感じる場合

パワースコアがもっとも高いのはEmblem 120(93)、次いでEmblem 110(88)ですが、この2本はRA70〜72と14本中もっとも硬い軽量モデルです。中級者以上で反発力を求めるなら、厚ビームでRAがやや穏やかなBeast 100(280g)(パワー85・RA67)やBeast O3 100(300g)(同80・RA66)が候補になります。

スピンがかからない場合

スピンスコアが14本中もっとも高いのはBeast O3 100(300g)(85)で、O3ポートによってストリングの可動域を広げた構造がそのままスコアに出ています。次点はX 100 TOUR(80)、Tour 100(290g)(78)です。コントロール系のPhantom Graphiteで回転も欲しい場合は、16×18のオープンパターンを採るPhantom Graphite 100XS100(いずれもスピン72〜74)が選択肢になります。

コントロールを重視したい場合

コントロールスコアが14本中もっとも高いのはPhantom Graphite 97(92)で、Phantom Graphite 93(90)、Tour 100(305g)(88)が続きます。ただし上位2本は97in²・93in²の小フェイスかつ300g以上で、上級者向けです。上級者未満でコントロール系を検討している場合は、100in²のPhantom Graphite 100XS(300g)(85)か、107in²のPhantom Graphite 107(77)から見るのが無理のない選び方です。

腕・肘に不安がある場合

RA(フレーム硬さ)がもっとも低いのはPhantom Graphite 97100107の60で、打球感スコアもPhantom Graphiteの各モデルが14本中の上位を占めます。ただしこの3本は300〜310gあるため、重量による負担も併せて考える必要があります。柔らかさと軽さの両方が要るなら、RA61で285gのPhantom Graphite 100XS(285g)が現実的な折衷案です。

重くて振り切れない・スイングスピードに自信がない場合

14本中もっとも軽いのはEmblem 120(247g)で、操作性スコアも95と最高です。次いでEmblem 110(255g・操作性92)が続きます。競技志向のスペックのまま軽さが欲しい場合は、Phantom Graphite 100XS(285g)(285g・操作性88)やBeast 100(280g)(280g・操作性85)が候補です。

プリンスのラケットに関するよくある質問

O3テクノロジーとは何ですか?

フレームのサイド部分に大きなポート(穴)を開け、ストリングを通常のグロメットではなくそのポートで支えるプリンス独自の構造です。空気抵抗が減ってスイング時のヘッドスピードが上がり、ストリングが動ける範囲が広がることでスピンもかかりやすくなります。当サイト掲載分ではBeast O3 100(300g)が該当し、スピンスコア85は14本中もっとも高い数値です。

Phantom Graphite 100と100XSは何が違いますか?

フェイスサイズ(100in²)とストリングパターン(16×18)は同じで、違うのは重量・ビーム厚・バランスです(RAも60と61でわずかに違います)。100は310g・22/20/18mm・バランス310mmで、ビーム厚は97・107と並ぶシリーズ最薄です。打球感スコア95に対して操作性は69。100XSは285g/300gの2種で23/21/19mmとわずかに厚く、バランスも300gモデルが320mm、285gモデルが325mmと、100より高め(ヘッドヘビー寄り)です。300gモデルで打球感85・操作性75、285gモデルで打球感82・操作性88です。打感の質を最優先するなら100、扱いやすさとの両立なら100XSという選び分けになります。

93インチや97インチのフェイスは小さすぎませんか?

スウィートスポットは狭くなりますが、その分ミスヒットしたときのフィードバックが明確で、打点の再現性を高めやすくなります。Phantom Graphite 93は315g・コントロール90、Phantom Graphite 97は300g・コントロール92と、いずれも上級者向けの設定です。小フェイスに慣れていない場合は、同じ薄ビーム・ボックス断面のまま100in²のPhantom Graphite 100XS(300g)や107in²のPhantom Graphite 107から入る順番が現実的です。

Emblem 110と120はどちらを選べばいいですか?

より軽く、より飛ぶのが120です(247g・パワー93・操作性95)。110は255g・パワー88・操作性92で、コントロールスコアは52と120の45より高くなっています。とにかく飛ばしたい・振る力に不安があるなら120、多少は狙って打ちたいなら110という基準で選べます。バランスも120は365mm、110は350mmと、120の方がヘッドヘビーで遠心力が効く設定です。

当サイトに載っていないプリンスのモデルはありますか?

あります。この記事で扱っているのは当サイトが掲載している5シリーズ14モデルで、BEAST 98やTOUR O3、Xシリーズの他モデルなどは掲載していません。全ラインアップはプリンス日本公式サイトのラケット一覧で確認できます。

まとめ|プリンスのラケットはフェイスサイズとビーム厚で絞り込む

プリンスの硬式テニスラケットは、当サイト掲載分でPhantom Graphite・Tour・X・Beast・Emblemの5シリーズ・計14モデルです。14本と数は少ないものの、フェイスサイズは93〜120in²、重量は247〜315g、RAは60〜72と、1ブランドの中で振れ幅が極端に大きく取られています。とくにPhantom Graphiteのスロート側18〜19mmという薄ビームは、当サイトが掲載する9ブランドの中でこの7本だけが持つ数値です。

したがってプリンスでは、「プリンスのラケット」としてまとめて比較するのではなく、まずフェイスサイズとビーム厚でシリーズを1つに決め、そのシリーズの1〜7本の中から重量を選ぶという順番が最短になります。

シリーズを絞り込んだあとは、ラケット診断や、コントロール系パワー系スピン系軽量・操作性オールラウンドの各ジャンル別ランキングで、他ブランドを含めた具体的なモデルと比較することをおすすめします。