ミズノ ACROSPEED(2026)レビュー|ACROSTRIKEと打ち比べた違い
2026年7月にリニューアルしたミズノ ACROSPEED は、見た目も飛びもピュアドライブ系のパワーラケットです。ところが打ってみると、厚いフレームから想像するより打球感はずっとマイルドでした。同じミズノのコントロール系 ACROSTRIKE と打ち比べると、ラリーの安定感では ACROSTRIKE が上でしたが、球出しのフォアとサーブは ACROSPEED のほうが軽い力で飛びました。自分から強く振り切れる上級者よりも、ラケットのアシストを借りたい一般プレーヤーに向くラケットです。
ACROSPEED と ACROSTRIKE のスペック・5軸スコアはどう違う?
下の表は、ACROSPEED 2本と、比較対象の ACROSTRIKE 2本・バボラ ピュアドライブを並べたものです。5軸スコアは当サイトが全モデル共通の基準で付けた相対評価で、モデル同士の位置関係を見るための指標です。
| モデル | フェイス | 重量 | バランス | RA | パワー | スピン | コントロール | 操作性 | 打球感 | 価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ACROSPEED 300 | 100in² | 300g | 320mm | 69 | 70 | 67 | 64 | 58 | 63 | 39,600円 |
| ACROSPEED 285 | 100in² | 285g | 320mm | 67 | 69 | 69 | 62 | 69 | 62 | 39,600円 |
| ACROSTRIKE 305 | 98in² | 305g | 325mm | 63 | 54 | 56 | 76 | 52 | 77 | 39,600円 |
| ACROSTRIKE 290 | 98in² | 290g | 325mm | 63 | 54 | 59 | 74 | 62 | 75 | 39,600円 |
| Pure Drive | 100in² | 300g | 320mm | 72 | 77 | 68 | 60 | 58 | 58 | 38,500円 |
ACROSPEED と ACROSTRIKE は、パワーで15〜16ポイント、コントロールで12ポイントの差があり、性格がはっきり分かれます。ストリングパターンはどれも16×19です。
ミズノはRAを公表していません。ACROSPEED・ACROSTRIKE のRAは米国の販売店 Tennis Warehouse の実測値で、ピュアドライブのRAはバボラ公式の値です。
ACROSPEED 300 は100in²・300g・バランス320mmの、いわゆる「黄金スペック」に当たります。側面厚はトップ24mm・センター26mm・シャフト21mmで、センターがもっとも厚いパワー系の形です。
ACROSPEED はピュアドライブ系?打球感が柔らかいのはなぜ?
見た目と飛びはピュアドライブ系、打球感はマイルド
ピュアドライブよりずっとマイルドです。ボールはガンと飛んでいくのに、打球感は硬くありません。ピュアドライブのつもりで振ると、もっと硬くボールを潰す感触を予想していたぶん、少し不思議な感じがしました。
5軸スコアでも、ACROSPEED 300 はピュアドライブよりパワーが7ポイント低く、打球感は5ポイント高くなっています。RAも ACROSPEED 300 の69に対してピュアドライブは72です。
デュアルスプリング|カーボンの層を分けて柔らかくする
ピュアドライブのようなパワー系ラケットは厚いビームでパワーを出すため、打球感が硬くなりがちだといいます。ACROSPEED はそこを「デュアルスプリング」という構造で和らげています。
テニスラケットは、薄いカーボンシートを何枚も積み重ねて作られています。デュアルスプリングは、この積層の中に薄いシートを1枚だけ挟み、層がわざと分かれる二重構造にしたものです。この二重構造によってフレームがよくたわんで柔らかい打球感になり、たわんだ分がよく戻ることでパワーも出ます。ACROSTRIKE にも同じデュアルスプリングが入っています。
グロメット|横長の穴と、長穴・丸穴の組み合わせ
グロメット(ストリングを通す穴の部品)にも2つの工夫があります。い
- 3時・9時側(フレームの横): 穴を横長にして、ストリングが縦方向に動きやすくしている。そのぶんパワーが出る
- 12時側(フレームの先端): 中央の穴は長穴、その隣は小さい丸穴にして、ストリング1本1本の動き方をわざと変えている。インパクトでストリングがボールをつかむように動き、スピンがかかりやすくなる
12時側の工夫については、ミズノが特許を取得している技術のようです。
ACROSTRIKE と打ち比べて、どちらが打ちやすかった?
ここからは、当サイトが ACROSPEED 300 と ACROSTRIKE 305 を打ち比べた結果です。ラリー、球出しのフォアハンド、サーブを打ちました。ACROSPEED 285 と ACROSTRIKE 290 は打っていません。
| 場面 | 打ちやすかったほう | 理由 |
|---|---|---|
| ラリー | ACROSTRIKE | 安定感と安心感がある |
| 球出しのフォア | ACROSPEED | ボールがカンと弾いて飛び、回転もかかる |
| サーブ | ACROSPEED | 力まずに打てて、ファーストサーブが入る |
ラリーは安定感で ACROSTRIKE
ラリーで安心して打てたのは ACROSTRIKE でした。ACROSPEED のほうが、前へまっすぐ押し出す力と回転量はあると感じました。ただ、試打者はパワー系のラケットがそれほど得意なタイプではなく、ラリーでは安定感のある ACROSTRIKE のほうが使いやすかったです。
相手のボールに威力があると、ACROSPEED はパワーがありすぎて、ボールがカンと弾かれてしまう場面がありました。自分から振り切れる人ほど、この飛びすぎが気になるはずです。
球出しのフォアは ACROSPEED のほうが楽に飛ぶ
意外だったのは、球出しのフォアハンドです。ラリーとは逆に、こちらは ACROSPEED のほうが打ちやすく感じました。ボールがしっかり弾いて飛んでいき、回転量も出ます。軽い力でスピードと回転の両方が出る感覚でした。
相手のボールの勢いを借りられない球出しでは、ラケットのアシストの差がそのまま出ます。ラリーで弾かれすぎると感じたパワーが、ここでは長所に変わりました。
サーブは力まずに打てる ACROSPEED
サーブは、はっきり ACROSPEED のほうが良いと感じました。ACROSTRIKE は押しが足りず、スピードが出ない感覚があり、バウンド後の伸びもあまりありませんでした。
ACROSPEED は球離れがよく、軽い力で振ってもボールが飛んでいきます。ACROSTRIKE ではスピードを出そうと自分からグッと振りにいくのに対し、ACROSPEED は力感が少ないままでした。そのぶんコントロールに意識を回せたので、ファーストサーブもよく入りました。セカンドサーブも回転をかけやすく、しっかり落ちてくれる感覚があります。1試合を通して打つことを考えると、サーブは ACROSPEED のほうが楽です。
腕への負担は感じなかった
ACROSPEED は、打っていて腕がしんどいと感じる場面がまったくありませんでした。パワー系でありながら打球感が柔らかいので、腕への負担を抑えたい人にも候補になります。
ACROSPEED と ACROSTRIKE、どちらが合う?
打ち比べた感想とスコアを合わせると、次のように分かれます。
ACROSPEED が合いそうなのは、次のような人です。
- 自分から強く振り切るより、ラケットのアシストを借りたい人
- ベースラインから前後に出入りして、いろいろな位置から打つ人
- サーブを力まずに打ちたい人
- パワー系が欲しいが、ピュアドライブの硬さは避けたい人
- 腕や肘への負担を抑えたい人
ACROSTRIKE が合いそうなのは、次のような人です。
- 305g・325mmを振り切れる上級者
- フラット系で、速いボールを自分のスイングで打ちたい人
- ベースラインから下がらず、前で相手の時間を奪いたい人
- 飛びすぎを抑えて、コントロールを優先したい人
プレースタイル的に ACROSTRIKE のほうが合っていました。それでも、一般のプレーヤーには ACROSPEED が合う人のほうが多いと感じています。
ACROSPEED 300 と 285 はどちらを選ぶ?
300と285は、フェイス100in²・バランス320mm・16×19・側面厚が同じで、違いは重さの15gだけです。
| 項目 | ACROSPEED 300 | ACROSPEED 285 |
|---|---|---|
| 重量 | 300g | 285g |
| パワー | 70 | 69 |
| スピン | 67 | 69 |
| コントロール | 64 | 62 |
| 操作性 | 58 | 69 |
スコアでは操作性に11ポイントの差があり、パワーはほぼ同じです。300gを振り抜ける体力があるなら300、取り回しを優先したいなら285が目安になります。
ACROSPEED のよくある質問
前作の ACROSPEED から何が変わった?
2026年のリニューアルで、デュアルスプリングが新たに搭載されました。ミズノ公式は「柔らかい打球感と更なる反発性を両立させるテクノロジー」と説明しています。285の公式スペック(フェイス100in²・バランス320mm・16×19・側面厚24/26/21mm)は、2024年秋冬の前作と同じ数値です。
270g のモデルはある?
2026年のリニューアルは300と285の2本です。ACROSPEED 270 は2024年秋冬の前作世代のモデルで、デュアルスプリングは搭載されていません。
ピュアドライブとの違いは?
5軸スコアでは、ACROSPEED 300 はピュアドライブよりパワーが低く、打球感が高い位置にあります。実際に打っても、飛びはピュアドライブ系なのに打球感はかなりマイルドでした。ピュアドライブ全モデルの違いはピュアドライブ全8モデルの違いで解説しています。
ストリングは張ってある?
ACROSPEED 300・285 はどちらもフレームのみの販売で、ケースは付きません。ミズノ公式の推奨張力は45〜60ポンドです。グリップサイズは300が2・3、285が1・2の展開です。
いつ発売された?
2026年7月下旬の発売です。価格は300・285ともに39,600円(税込)です。
まとめ|ACROSPEED は「マイルドなピュアドライブ系」で、一般プレーヤーに合う
ACROSPEED は、ピュアドライブ系の飛びを持ちながら、デュアルスプリングで打球感を柔らかくしたパワーラケットです。ACROSTRIKE と打ち比べると、ラリーの安定感では ACROSTRIKE に譲りましたが、球出しのフォアとサーブは軽い力でスピードと回転が出ました。
強く振り切れる上級者やフラット系の人は ACROSTRIKE、ラケットのアシストを借りて楽に打ちたい人は ACROSPEED を選ぶと失敗しにくいはずです。ミズノの他シリーズも含めて比べたい場合は、ミズノのテニスラケット選び方を参考にしてください。
公式情報は、ミズノのACROSPEED リニューアルのお知らせとACROSTRIKE の製品ニュースで確認できます。




